フランスでカップルがパートナー関係を築く際、必ずしも「結婚」を選ぶわけではありません。**PACS(パックス)**と呼ばれる法的パートナーシップ制度が存在し、多くのカップルがこの制度を活用しています。では、PACSと結婚の違いは何なのでしょうか?この記事では、手続き・法律・税制・子どもへの影響などを含め、分かりやすく比較解説します。
PACS(パックス)とは?
PACS(Pacte Civil de Solidarité)は、1999年にフランスで導入された法的なパートナー制度です。異性同士でも同性同士でも締結でき、結婚に代わる選択肢として広く利用されています。
結婚よりも簡単な手続きで法的にカップルの関係が認められる
税制・社会保障面での一部優遇を受けられる
離別時も裁判なしで比較的簡単に解消できる
PACSと結婚の主な違い一覧
比較項目 | PACS(パックス) | 結婚 |
---|---|---|
性的区別 | 異性・同性ともに可能 | 異性・同性ともに可能(同性婚は2013年合法化) |
手続き | 市役所での簡単な契約 | 婚姻届・戸籍登録・挙式などが必要 |
解消方法 | 双方の合意または一方の申請で即日可能 | 離婚手続きが必要(時間と費用がかかる) |
姓の変更 | 変更不可 | 原則として姓の選択や変更が可能 |
相続権 | なし(遺言がなければ財産は相手に渡らない) | 法定相続人となる |
税制上のメリット | 所得合算による税控除あり(結婚に近い) | PACSとほぼ同様のメリット |
養子縁組・子の親権 | 単独での養子縁組は可(共同は不可) | 共同養子縁組・親権ともに可能 |
滞在許可(外国人配偶者) | 一部優遇あり(居住歴などの条件付き) | 配偶者ビザの取得が可能 |
フランス人がPACSを選ぶ理由とは?
1. 手続きが簡単で柔軟
市役所(Mairie)での手続きのみで契約が可能で、婚姻式や公証人は不要です。解消時も一方の申請で簡単に終了でき、自由度が高いのが特徴です。
2. 結婚に縛られない自由な関係を好む人が多い
フランスでは「形式にとらわれない愛のかたち」を重視する傾向があり、結婚に対するプレッシャーが少ないため、PACSは“自由で現実的”な選択肢として定着しています。
3. 経済的・税制上の恩恵が得られる
PACS締結2年目以降は、所得合算による課税優遇が適用され、税金面でのメリットも大きくなります。結婚とほぼ同様の恩恵が受けられるため、わざわざ結婚する必要を感じないという声も。
PACSを結んだ後に結婚することも可能?
はい、可能です。実際に**「まずPACSで生活を始め、後に結婚する」**というカップルも増えています。
その際、PACSの解消と婚姻手続きは同時に行えるようになっており、法的な移行もスムーズです。
国際カップルにも選ばれるPACS
フランス人と外国人のカップルでもPACSの締結は可能です。ただし、外国人がフランスに居住していない場合は、手続きが複雑になることもあるため、事前の確認が必要です。
パートナーがフランス国籍を持っていれば、PACS締結後に一部の滞在許可を得られる可能性あり
滞在目的によっては、PACSよりも結婚の方が有利なケースもある
結婚とPACS、どちらを選ぶべき?
それぞれにメリット・デメリットがあります。選ぶべき制度はカップルの価値観や目的によって異なります。
PACSが向いているカップル:
形式にこだわらず、柔軟に関係を築きたい
離婚リスクや経済的負担を避けたい
税制優遇や法的保護がある程度あれば十分と感じる
結婚が向いているカップル:
相手の国で永住権・配偶者ビザの取得を考えている
子どもの親権・相続・家族としての法的保障を重視する
宗教・文化的に結婚の形式を大切にしたい
フランスでは「結婚=絶対」ではなく、PACSというもう一つの法的な選択肢があることで、より自由なパートナーシップの形が認められています。形式にとらわれず、2人にとって最適な形を選ぶことが、より幸せな関係づくりの第一歩になるでしょう。
結婚相談所 たかなしや
https://www.takanashiya.jp/
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