1980年代の恋愛アニメの中でも、静かな人気を誇ったあだち充原作『みゆき』。
兄妹のように育った若松真人と義理の妹・若松みゆき、そしてクラスメイト・鹿島みゆきという“ダブルみゆき”による三角関係は、派手さこそないものの、日常の中にあるやさしさ・迷い・じれったさをリアルに描いています。
今回は『みゆき』を通して見えてくる、大人も共感できる恋愛観を深掘りしていきます。
恋は“はっきり言えない”からこそ、深くなる
主人公・真人は、自分に好意を寄せてくれる鹿島みゆきに対しても、義理の妹である若松みゆきに対しても、どこか「はっきりしない」態度を取り続けます。
けれどそこには、
● 人を傷つけたくない
● 関係を壊したくない
● 自分の気持ちがまだ定まらない
といった、誠実さゆえの曖昧さが感じられます。
恋愛は、“好き”と口に出すことだけがすべてではありません。
ときには「言えない想い」や「時間をかけて向き合うこと」こそが、本気の証とも言えるのです。
“家族のような存在”に芽生える恋の戸惑い
若松みゆきは、真人にとって義理の妹であり、家族のような存在。
でも、ふとした瞬間に女性として意識しはじめたとき、その感情に戸惑いを覚えます。
これは、現実の恋愛でも起こりうること。
● 友人だった相手を好きになった
● 家族のように思っていた人と急に距離が縮まった
そんな感情の変化にどう向き合うかというテーマが、作品には静かに流れています。
鹿島みゆきに見る、“伝える勇気”と“待つ強さ”
一方、もう一人のヒロイン・鹿島みゆきは、真人への好意を隠さず、まっすぐに向き合います。
明るく優しいけれど、どこか影のある彼女の恋は、「伝えることの大切さ」だけでなく「結果を急がず待つ強さ」も教えてくれます。
彼女の存在から学べるのは、
● 無理に距離を詰めない思いやり
● 自分の気持ちを否定しない肯定感
● 焦らず、でもあきらめない恋の姿勢
という、大人の恋愛にも通じる心のあり方です。
恋愛は“急がないこと”で育つこともある
『みゆき』は、派手な告白や劇的な展開のない作品です。
でもその分、丁寧に描かれる“心の移り変わり”が、見る人の記憶に静かに残ります。
● 好きなのに伝えられない
● 一緒にいるのが当たり前すぎて気づかない
● でも、失いたくない――
そんな繊細な恋の感情は、婚活や再婚など“第二の人生の恋”にも通じるものがあります。
懐かしいあの恋が、もう一度よみがえる――。
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不器用な恋こそ、やさしくて強い
『みゆき』の登場人物たちはみな、不器用で遠回り。
でも、その不器用さこそが本気の証であり、誠実な恋愛のひとつのかたちです。
恋は、必ずしも積極的に進めるものではありません。
ときには「待つこと」「迷うこと」「揺れること」も、愛の大切なプロセスなのです。
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